バツイチナースですが、私を嫌っていた救急医がなぜか溺愛してきます
「佐和様、私は近くのホテルからお世話に通いますから」
「ダメよ。香耶さんがそばにいてくれなくちゃ、不安だわ」
「でも」
香耶があれことなだめてもも、佐和はチラチラと拓翔を見ている。早くイエスと言えと催促しているのだ。
「マンションのコンシェルジュに連絡を入れておきますから、どうぞお使いください」
拓翔は、ため息まじりだ。
承諾の言葉を聞くると、佐和はとても嬉しそうな顔になる。
「香耶さん、さっそく買い物をお願い。着替えとか化粧品とか、しばらく暮らすのに必要なものを買ってきて」
そう言って佐和はブラックカードを香耶に渡そうとする。
「では、マンションの様子を拝見してから買い物に行かせていただきます」
一応、カードを受け取った。
香耶がすんなりと受け取った様子を、拓翔がじっと見ているのが気になった。
入院が決まった日にも、買い物のために佐和からカードを受け取っているのを嫌そうに見ていたのを思い出した。
もしかしたら香耶が佐和のカードを自由に使っていると誤解しているのかもしれない。
香耶は絶対にそんなことはしていない。
ただカードを受け取らなかったら、佐和がまた機嫌を悪くするだろう。
こじれた方が面倒だと知っているから、預かったようなものだ。
それをいちいち説明するのもおこがましいような気がして、香耶は拓翔の視線を受け流すことにした。