バツイチナースですが、私を嫌っていた救急医がなぜか溺愛してきます
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やっと拓翔のマンションに落ちつくことになったが、香耶の気持ちは重かった。
拓翔の態度や視線は、香耶を歓迎しているとは思えない。
佐和からカードを受け取ったことで、お金目当ての看護師だと誤解しているのだろうか。
なんともいえない気持ちを抱えたまま、香耶は佐和とふたりタクシーに乗って、港区でもベイエリアにあるというマンションに向かった。
病院で初めて会った拓翔は、とても冷静な医師だと思った。
言葉使い、無駄のない動作、看護師への的確な指示。それでいて偉ぶったところがない。
香耶がもし患者だとしたら、とても信頼できる。
それにスラリとした体型と高い鼻梁から、まるで医療ドラマの主人公のような雰囲気すら感じさせる。
入院中、拓翔の祖母の世話をしている香耶は、どれだけ看護師たちからうらやましがられたことか。
だが香耶は、どうやら彼からは嫌われてしまったようだ。
もともと香耶は明るくおおらかな性格だったのだが、あるときから人間関係が苦手になっていた。
拓翔ともなるべく関わりあいたくない気持ちの方が強い。
香耶の事情を知っているのは、今のところ佐和だけだ。
あえて拓翔に話すことでもないし、なるべく彼とは会わないようにするしかなさそうだ。