バツイチナースですが、私を嫌っていた救急医がなぜか溺愛してきます



そんな暮らしは二年続いたが、ある日あっけなく幕を閉じた。

平日の昼過ぎだというのに、背広姿の洸太郎が姿を見せた。
仕事は休みなのか、女性を伴って離れにやってきたのだ。

介護のために化粧もほとんどせず動きやすい服装の香耶とは違って、女性は華やかな装いだ。
ブランドもののワンピースを着て、イヤリングや指輪を身につけている。
まるで麻友のようだなとぼんやりと見つめていたら、その女性が洸太郎の腕を引っ張った。

「洸太郎さん、早く」

彼女の言葉に反応するように、いきなり洸太郎から書類を手渡された。

「これって」

また女性が洸太郎の腕にトントンと触れると、洸太郎が話しだす。

「見てわかるだろう、離婚届だ」
「離婚届け、ですか」

「彼女に子どもができたから、別れてくれ」

彼女とは、結婚式の夜に聞いていた恋人のことだろうか。
目の前の女性がその恋人なのかと思っていたら、香耶に向かって話しかけてくる。

「初めまして、奥様」

奥様と呼ばれるなんて思ってもいなかったが、その女性はとても明るい表情だ。

「彼女は高岡沙織(たかおかさおり)だ。俺と同じ会社に勤めている」
「は、はあ」

ふたりの関係に興味がない香耶は、気の抜けた返事をしてしまった

「ごめんなさい。私たちずっと前から愛しあっているの」

沙織は、いかに自分たちが想いあっているか延々と訴えてくる。



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