バツイチナースですが、私を嫌っていた救急医がなぜか溺愛してきます



「古泉さん、おはよう」
「おはよう、佐原(さはら)君」

「今日もよろしく」
「こちらこそ、よろしく」

同じ小児科病棟で働いている佐原修二(しゅうじ)も、香耶の大学時代の同期のひとりだ。
アニメのキャラクターに似ているからか子どもたちの人気者で、いつも丸い顔にニコニコと笑顔を絶やさない。

佐原といるだけで、笑顔は伝染するのかと思うくらい香耶も明るい気持ちになれるから不思議だ。
それに同期は五年目の中堅なのに、新人として働いている香耶のことも気遣ってくれているようだった。

わざと聞こえるように香耶のうわさしている人もいたが、その都度「気にするな」と言ってくれたり耳に入らないようにしてくれているようだ。

だがうわさは時として悪い方向にエスカレートしていくものだ。

離婚理由が香耶の落ち度のように言われ始めては、佐原も見過ごすことができなかったのだろう。
とうとう佐原は、ナースステーションでわざと香耶の離婚を話題にしてしまった。

「古泉さんの元旦那さん、たしか浮気したんだよねえ」

佐原はどこで事実を知ったのだろうと香耶はうろたえたが、顔に出さないよう気をつけた。
香耶は平然とした態度で軽くうなずく。


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