バツイチナースですが、私を嫌っていた救急医がなぜか溺愛してきます
「ああ、香耶だ」
これが足りなかったんだと拓翔に言われて、なんだか恥ずかしくなってきた。
「空腹も限界だし、ゆっくり風呂にも入りたい。やりたいことが目白押しだ」
よほど疲れていたのか、照れ隠しなのか、拓翔は香耶からサッと離れてそんなことを言っている。
その言葉通り、拓翔がシャワーを浴びて着替えてくると、ふたりは食事とワインを楽しんだ。
絶え間なくおしゃべりは弾み、夜が更けていく。
「今夜は泊って行かないか?」
拓翔の問いかけに、香耶は「はい」と小さな声で返事をした。
***
「いきなり君のすべてを求めたりはしない。俺たちのペースでゆっくり進んでいこう」
拓翔はそう言ってくれた。
以前ここで暮らしていた頃と違うのは、香耶がシャワーを浴びてからは拓翔の寝室にいることだろうか。
「ここにきて」
先にベッドに横になっていた拓翔が、隣をさす。
そこへ香耶が横になると、そっと羽根布団を掛けてくれた。
「一緒に眠ろう」
拓翔は香耶が隣にいることだけで満足してくれたようで、ピッタリ寄り添っていると心まで温かくなる。