最強術者であることを隠して自由に生きようと思っていましたが現最強術者の花嫁になり溺愛されるようになりました
「…舞花!」
心地の良い風と、懐かしい香子蘭の匂い、懐かしくて恋しい声が聞こえる。
聞こえる方に走る舞花。
走った先には、愛おしさが含まれた自分と同じ瞳を持つ
母である楓がいた。
自分を抱きしめるのを待っているかの大きく両手を大きく広げている。
舞花は走って、思い切り母の腕の中に飛び込む。
飛び込めば一気に今では感じられない温もりを感じた。
温かくて懐かしくて涙が溢れ出てくると同時に
幸せで胸がいっぱいになるのを感じた。
こんな風に大切な人と過ごしたかった。

ここは夢だというのは分かっている。
だけど「覚めたくない」と幼い子供のような我儘があった。
けれど
「舞花?----?---して----いるの?」
母の声も段々と消えていく。
ああ。自分は目覚めるんだと悟る。
━━━━━━━━━
幸せのような懐かしいような夢を見た。
母と戯れる夢。
もういないというのに夢の中で会うとは驚いた舞花。

意識が段々と浮上していくうちに誰かの面影が見えた。
ぼんやりとしていて見えない。ただ黒い何かがチラついていた。
「…花、舞花起きろ」
ふとした声が聞こえる。
どこか聞いたことのあるようなというよりも
前々から聞いていた声が聞こえる。
「…おい!いつまで寝ているんだ起きろ!」
「…っ」
額に少しチクリとした痛みが走って、反射的に反応して
起き上がる舞花。
額は痛いと同時に熱く感じる。
隣を見れば凪斗がおり、瞬時に舞花は理解した。
(凪斗のやつ…額を指で弾いたな…。)
そう思って、ジロリと目をやる凪斗。
「…なんだその目は」
「痛いじゃない!もうちょっと違う方法で起こしてくれてもいいでしょ!」
「起きろと何度も言った。
起きなかったお前が悪い。」
「はあ?というか、なんで凪斗がここに。」
「夕食が用意できたから呼びに来たんだ。」
「へ?」
ふと時計を見てみる。
既に十八時半。
明らかに寝過ごしていた。
それに、昼から何も食べていなかったせいか
『ぐうう…』
と腹から音が鳴ってしまい隣にいた凪斗も聞いており
ニヤリと笑う。
「腹が減っているんだろう?」
「…っうん。」
恥ずかしいと思いつつも素直に言う舞花。
やれやれと言いつつ凪斗は
「ついてこい。」
先導してくれた。

ついた先は、畳の居間だった。
机には今日の夕食が置いてあった。
「そこに座れ。今日からお前が座る場所だ。」
「うん。」
凪斗と対面する位置に置いてある座布団に座り
凪斗が座ったのと同時に舞花は夕食にありつき始める。
「美味しい…!」
そう言いながら食事を平らげていく舞花に凪斗は呆れつつもどこか優しげな眼差しで舞花を見ていた。
食事をしつつも凪斗は舞花にある話題を出す。
「そういえば、舞花はクレナイ学園に通っているんだな?」
「そうだけど?」
一時、食べる手を止めてそう話す舞花。
「お前、普段学園までどうやって行っている?」
「どうやってって…歩きだけど?」
そう言えば、凪斗は雷にでも打たれたような衝撃な顔をして舞花に詰め寄る。
「はあ!?お前、歩きで行っていたのか!?
嘘じゃないだろうな!?」
「なんでそんな驚くのよ?」
「これで驚かない奴がどこにいる!」
「はあ?」と言う舞花。
舞花にはよく分からなかった。なんで歩いているというだけで驚かれなければならないのか。
「…いや、お前は普段から学園へ行く時は車で送っていってもらっているのかと思っていた。だから、学園へ行く時は変わらず車で送っていってやると言いたかったんだが…。」
「なるほどそういう事ね。」と言い舞花は
「車で送っていってもらわなかったわよ。何しろ美奈子しか大事にしてないあの人が私に車で送るって考えるはずないわよ。」
と現実を突きつけた。
「…そうか。」と凪斗は言い
「これからは、車に乗せていってもらえ俺から言っておくから。」
「え?いいわよ。別に私歩いていけるし。」
「馬鹿。お前は俺の花嫁なんだ。
もし登校中に何かあったらどうするんだ。」
「馬鹿とは何よ馬鹿とは。」

と色々と互いに言い合う二人だった。

互いに言い合った後は、
それぞれ別れ、舞花は風呂に入り
そのまま眠っていったのであった。
< 34 / 45 >

この作品をシェア

pagetop