メガネを外したその先に
「だから、私はこの学校に来たことを後悔したことは一度もない。龍弥先生に出会えてよかった。」


こんなところで伝える言葉ではなかったかもしれないけど、口を突いて出てきてしまった言葉は戻せない。


「卒業する時みたいな言い草だな」

「まだ卒業までは半年あるけどね」


先生の横顔を見つめながら思う。

卒業する時には、もっとちゃんとしっかり私の気持ちを伝えたいって。


「卒業する時には、もっと盛大な言葉用意しとくつもりだから覚悟して待っててね」


私の言葉に先生からの返事はなかったけれど、先生と過ごせる残り半年程の時間を一日一日大切にしようと改めて思い直した。
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