メガネを外したその先に

glasses10

【高校三年・春】


卒業証書を受け取り、先生たちの前を通り過ぎると龍弥先生と目が合う。


白のネクタイもかっこいい、なんて。

そんなことを思ってしまう私は、卒業式自体に全く集中できていない。


大学受験が終わってから今日まで、先生への告白の言葉をずっと考えていた。


返事が欲しいとか、付き合いたいとか。

そういう見返りは全く求めてなくて、ただ私がケジメとして先生に気持ちを伝えたいだけ。


それはきっと私の我儘でしかないけれど、今日ならそれも許される気がした。
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