メガネを外したその先に
校長先生の話を聞きながら、体育館を見渡す。

ここの裏で早紀と桃に突き飛ばされた日のことが、程遠い昔のことのように感じる。


龍弥先生と何度も過ごした空き教室。

龍弥先生と出会った一年生の教室。

龍弥先生と駄弁った屋上へ繋がる階段。


体育館から三年生の教室へ戻るまで、あらゆる場所が先生との思い出に繋がっていて寂しさが込み上げた。


担任の先生の言葉を聞きながら、教壇に立っていた龍弥先生を思い出す。

もう龍弥先生のそんな姿も見ることができないのだと思うと、卒業したくない。
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