メガネを外したその先に
この恋が叶うことはないって頭のどこかでわかってはいるけれど、私はきっと一生、龍弥先生のことを何度だって思い出す。


「だから…先生、大袈裟じゃなくて、私に生きる意味をくれてありがとう。」


気持ちを吐き出して、少し心が軽くなった。

ずっと抱えていた想いが、相手に届いたという事実だけでも救われる何かがそこにはある。


「ありがとう」


先生は、私に触れることなくそう紡ぐ。

メガネを掛けたままで、先生と生徒の距離を今もきちんと保ったままで、今までで一番優しい声を出す。
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