メガネを外したその先に
冗談半分ってそう口にしたら、先生の大きな手に両頬をムニッと押さえられて口を窄められた。


「もういっぺん言ってみろ」

「ごめんなしゃい」


上手く喋れない私を見て、先生がフッと笑みを溢す。

それだけで胸が甘くギュッと締め付けられて、どうしようもない程に先生に心を奪われる。


「ほら、行くぞ」


先生と一緒に動物園にいるなんて、夢みたいで。

歩き出す先生の背中を見つめ、夢なら覚めないでと想いながら足早に後ろ姿を追う。
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