メガネを外したその先に
希の言葉を受け入れ、彼女の髪をそっと撫でる。


「ドキドキしすぎて、心臓破裂しそう」


俺の胸の中で紡がれる言葉がどれだけ俺の心を刺激するのか、恐らく本人はわかっていない。


緩く巻かれた髪を、指先に巻き付ける。

その行為に気付いた希が、俺の胸の中で顔を上げて大きな瞳に俺を映し出す。


「やっぱり、龍弥ばっかり余裕で狡い」

「まぁ、大人だからな」

「子ども扱いしないで」


俺の言葉にプクッと膨らませた希の頬を、指先で挟み込みその柔らかな感触を味わう。
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