メガネを外したその先に
そして、先生の返事を聞いてどうしたって口角が上がってしまう私もとてもわかりやすい。


「美味しい」

「よかったな」

「食べる?」


ダメ元で、アイスを掬ったスプーンを持った右手を龍弥先生の方へと差し出す。


「いらない」

「ですよね」


憧れの“あーん”をすることはできなかったけれど、想定内の反応だったのでダメージはほぼない。

パフェを突く私の手元を見つめながらコーヒーを飲む先生との時間は、優しくて穏やかだった。
< 50 / 213 >

この作品をシェア

pagetop