メガネを外したその先に
「風間先輩」

「久しぶり」


マフラーに顔を埋めた先輩は大学受験真っ只中のはずで、久しぶりに顔を合わせた。


「どうしたんですか?」

「今日の試験問題で大橋先生に聞きたいことがあったから、帰りに寄ってみた」


別れた後もこうして普通に接してくれる風間先輩は、私より遥かに大人だ。

風間先輩の口から出た龍弥先生の名前に、一瞬心が揺らいだけれど平然を装う。


「…それ、手作り?」
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