長尾さん、見えてますよ
手を伸ばせば、白くて柔らかそうな頬に触れられる距離まで近づけた。
「…一緒に居れなくて、話せなくて、寂しいと思ったのは、初めてでした」
淡々と過ごしていたと思っていたけれど、今思い返せば、ふとした時に必ずあの帰り道を思い出しては、小さな痛みを胸に抱えていた。
「ももさんと、ずっと一緒にいたいです」
ちゃんと聞いてくれていることが分かるからこそ、今断られることがとても怖く感じる。
すがるように伸ばした手は、力なく彼女のエプロンを掴んでいた。
こんなにも情けない自分がいたなんて。
「…返事、後でいいとか言いましたけど、やっぱり今でいいですか。俺、余裕なくて…」
目も合わせられずそう告げると、ももさんが小さく息を吸って、居住まいを正したのを感じた。
「………一緒に、いるだけでいいの?」