【ご令嬢はいつでもシリーズ5】悪役令嬢の厄落とし! 一年契約の婚約者に妬かれても、節約して推しのライブ予約してあるので早く帰りたい。だめなら胃腸薬ください!


「お前のような性悪女が、今度はどのような悪辣な嘘をつくかと思えば、やはりか!」

 ――えっ……?
 性悪、悪辣って、もしかしなくても、ベアトリスのことだよね……?

「エ、エバン様っ……!」
「ふんっ、国王陛下の命とはいえ、俺だとて承服などしていない。婚約は一年限りの形だけだ! 記憶をなくしただと? ふんっ、ばかを言え! そんな戯言、誰が信じるか」
「さすがにお言葉が過ぎましてございます……っ」
「主が主なら、使用人も使用人だな。正客に対して侍女に好き勝手言わせておくとは、まったく教育がなっていない。とにかく顔は見せたからな、俺は帰る!」

 エバンがくるっと背を向けた。
 ヘティが苦しそうにエバンの背中と私を交互に見ている。
 えーっと、なにこれ。ばっちりもいい所なんだけど……。
 まったくわけがわからない。
 うーんと、あれ、もしやこれ言われっぱなし? 
 あのー、説明はなしですか?
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