【ご令嬢はいつでもシリーズ5】悪役令嬢の厄落とし! 一年契約の婚約者に妬かれても、節約して推しのライブ予約してあるので早く帰りたい。だめなら胃腸薬ください!


「ちょっ、ちょっと、待ってもらえませんか、エバン……様……?」
「エバン様、だと?……」

 ドアの前でエバンが思っいきり怪訝そうに振り向いた。
 あーこれ、呼び方間違った感じかな? まあ、いいや。

「お叱りを受けていることはわかったのですが、あいにく、私にはどうにも記憶がございません……。差支えなければ、私がエバン様にしてしまった、その、嫌われることになった要因について、お話願うことは……」
「貴様はばかかっ!」

 ――バタンッ!
 捨て台詞に乱暴なドアの開閉、ついでに、お前どころか貴様はばかと来たよ。
 すざまじい退場だったね……。
 これで婚約者同士って、まあ、あり得ないね~。
 ヘティを見ると、気まずそうに下を向かれてしまった。
 ベアトリス、この体の主。あなたは、一体なにをしたのよ……。
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