【ご令嬢はいつでもシリーズ5】悪役令嬢の厄落とし! 一年契約の婚約者に妬かれても、節約して推しのライブ予約してあるので早く帰りたい。だめなら胃腸薬ください!


 ここはセントライト王国と呼ばれる国で、ヴィリーバ子爵の三女として生まれたベアトリスはやんごとなきお嬢様として蝶よ花よと育てられた。長女エリス、次女マーガレットと共に仲睦まじい三姉妹だったそうだが、いつごろからかベアトリスはマーガレットを卑下するようになったという。

「そのマーガレットお姉様は……?」
「十四のお歳にご結婚されて、今はデコラム領で幸せにお暮しです」
「そう……」

 ベアトリスは華やかな赤い髪を持ち、いくら食べても太らないというそのすらっとした体つきで社交界で人目を引いていた。さらに自分の姉を下に見ることで自分の存在感をアピールすることに長けていたという。茶会や式典では姉や気に食わない相手のドレスにジュースやワインをこぼすのはベアトリスのいやがらせの常とう手段だったそうだ。

「えっ、なにそれ……。絵にかいたような悪者じゃん。ベアトリスは自分のお姉さんにそんなことをしてたの?」
「は、はい……」
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