【ご令嬢はいつでもシリーズ5】悪役令嬢の厄落とし! 一年契約の婚約者に妬かれても、節約して推しのライブ予約してあるので早く帰りたい。だめなら胃腸薬ください!

 スパッと切り捨てられてしまった。
 うう……、とりつく島もない。でも、なんとしてでも彼から協力を取り付けなければ、私には活路がない。いっそ、自分の正体を明かして、楠本容子として信じてもらうことができれば……。い、いや、それこそ、大嘘つきってひんしゅくを買うかも……。
 どう説得しようかと頭を悩ませていたら、エバンがスッと目を細めた。

「ふん、下らぬ茶番を演じてなにをしようと言うのか。まあいい、お前がそのつもりなら、その茶番に乗ってやろう」
「え……」
「記憶を取り戻したいと言ったな。そのために王宮に参りたいと」
「え、あ、はいっ」
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