天色ガール【修正版】
「……ごめん」
まさか屋上に、女嫌いの彼しかいないとは。
この様子だと信号機たちに連絡もできないし……遅刻してでも教室に戻るべきだったか。
一時間寝るだけだからと屋上に来たことを後悔し、大人しく教室に戻ろうとそっとドアノブに手をかけ────
「おい!」
ようとした寸前、背後から声がした。
え、これ誰に言ってる? もしかしてあたし?
でも“喋るな”ってさっき言われたばっかで……
「むっ、無視すんなよ! 女!」
「あ、ごめん」
この屋上に“女”はあたし一人。というか、そもそもあたしと真琴以外に人はいない。
咄嗟に謝れば、
「お、お前! 姫になって何が目的なんだよ!」
真琴が戦闘態勢を崩さないまま叫んだ。変わらず声は震えている。
喋るなと言われたものの、質問されているようなので躊躇いながらも口を開いた。
「……何の目的もないけど」
「しっ、しらばっくれても無駄だぞ!」
「別にしらばっくれてなんか……」
「本当のことを言え!」
「だから本当のことで、」
「嘘つくんじゃねぇ!!」
…………だめだ、話が通じない。