天色ガール【修正版】
「だから姫に……」
「提案はありがたいけど、姫にはならない」
あたしは想乃の言葉を遮ってキッパリ断る。
「……え。で、でも族から狙われてて危険なんだよ!?」
まさか断られるとは思わなかったのか、彼は少し声を荒らげた。
確かに危険だけど、それはあたしが“普通の女子高生”だった場合の話だ。
「大丈夫だよ。空手とか合気道とか……色々習ってたことあるし。逃げ足も速いから!」
足が速いのは事実だけど、それ以外は嘘だ。空手も合気道も習ったことなんてない。
それでもこの嘘で、少しは安心して引き下がってくれないかなーと微かな希望をもって彼らの反応を伺う。けれど。
「そんなんで族相手に勝てるわけねェだろ」
「甘く見てたら痛い目遭うぜー?」
「それに、もし大人数で襲われたりしたらどうするの?」
……流石にそんなことじゃ納得しないか。
かといって正体は言えないしなぁ。
どうしよう。これは結構困ったことになった。