天色ガール【修正版】



「だから姫に……」


「提案はありがたいけど、姫にはならない」



 あたしは想乃の言葉を遮ってキッパリ断る。



「……え。で、でも族から狙われてて危険なんだよ!?」



 まさか断られるとは思わなかったのか、彼は少し声を荒らげた。


 確かに危険だけど、それはあたしが“普通の女子高生”だった場合の話だ。



「大丈夫だよ。空手とか合気道とか……色々習ってたことあるし。逃げ足も速いから!」



 足が速いのは事実だけど、それ以外は嘘だ。空手も合気道も習ったことなんてない。


 それでもこの嘘で、少しは安心して引き下がってくれないかなーと微かな希望をもって彼らの反応を伺う。けれど。



「そんなんで族相手に勝てるわけねェだろ」


「甘く見てたら痛い目遭うぜー?」


「それに、もし大人数で襲われたりしたらどうするの?」



 ……流石にそんなことじゃ納得しないか。


 かといって正体は言えないしなぁ。



 どうしよう。これは結構困ったことになった。



< 42 / 115 >

この作品をシェア

pagetop