天色ガール【修正版】



 ブーブー「はい、もしもし!」



 着信を知らせるバイブ音が鳴り、あたしは素早くポケットから携帯を取り出して耳に当てた。


 誰だか分からないけどナイスタイミング!



『うおっ、何かあったのか!?』



 電話の相手は暁だった。



「ごめん。何でもないから気にしないで」


『そ、そうか。……ところでお前、今屋上か?』


「そうだけど、なんで知ってんの?」



 なんだか嫌な予感がする。まさか。



『なんかなぁ。学校全体で“転校生は閃光の姫だ”って大騒ぎになってんだよ』


「あーもう広まってるんだ……」


『まぁ、“五閃”はこの学校のアイドルみたいなもんだしな。今までいなかった姫が突然できたなんて事件、そりゃすぐに広まるだろ』



 言われてみれば、今の代に姫がいるなんて話は聞いことがないな。


 それにアイドルって……顔が良くて喧嘩が強いとなると、そんな存在にもなるのか。



『にしてもお前、昨日屋上で何したらそんな話になるんだよ』


「はぁ!? いや、暁が昨日あたしを屋上に行かせたせいで、ここの生徒があたしのことを姫だって勘違いしたんだよ!」



 元凶はお前だ!と苛立ちまじりに声を張り上げる。


 すると、周りから「暁って……え、理事長のこと?」「あの理事長!?」とかいう声があがった。どの理事長だ。



< 43 / 115 >

この作品をシェア

pagetop