リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
けれど、しばらくするとふと思い出したように涼成くんが口を開く。
「会社の近くにあるパン屋のサンドイッチ」
「サンドイッチ?」
「ああ。厚焼き卵サンドは特に絶品だ」
「そうなんだ」
もっと別な食べ物が出てくると思っていた。
めったに食べられないような高級食材を使った料理や、五つ星をもらうようなレストランで出てくるおしゃれな料理など。
「そんなに美味しいんだ。そのパン屋さんのサンドイッチ」
「ああ。だが、経営をしているのが高齢の夫婦で、近々店を畳むらしい」
「え、そうなの?」
「この前パンを買いに行ったときにそう話していた」
涼成くんはそう言うと、止まっていた手を動かして食事を再開させる。
私もポテトサラダを一口含んだ。
「そっか。お店閉まっちゃうんだ」
高齢ということなのでお店を続けていくのが大変になってしまったのかもしれない。
「私も食べてみたいな。涼成くんのお気に入りのサンドイッチ」
涼成くんの会社の近くだから、TAKIGAWAホールディングスの本社ビル付近にあるのだろう。
閉店してしまう前に行けないだろうか。
「今度一緒に行くか?」
そう言って涼成くんが私を見る。