リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「でも、預かっていた犬は飼い主のところに戻ったんでしょ?」
「うん。今朝、飼い主が迎えに来た」
朝の八時頃、出勤するため涼成くんと一緒に自宅を出るとマンションの前に見るからに高級車だとわかる黒塗りの車が停まっていた。
運転していたのは涼成くんの秘書の男性で、彼を迎えに来たらしい。
秘書の男性は涼成くんと年齢がそれほど変わらないくらいで、彼がお見合いをボイコットして私の家に身を隠していることも知っているようだった。
どうやら涼成くんにとって唯一の味方らしい。
出勤のついでだからと涼成くんに誘われて私も車に乗せてもらって会社まで来た。けれど、断ればよかったと後悔したのは会社に着いてからだ。
運転手付きの高級車から降りてきた私を見た一部の社員から好奇の目で見られていたことを思い出す。
変な噂がたたなければいいけれど……。
美紅とのランチのあとは仕事に戻り、通常の業務をこなして定時で退社した。
帰宅後、冷蔵庫にあるもので簡単に夜ご飯を作り、食べ終えてからシャワーを浴びてまったり過ごしていると玄関のチャイムが鳴った。
こんな時間に誰だろうと恐る恐る扉を開けると、そこにいたのは今朝別れたばかりの涼成くんだ。