リベンジ溺愛婚～冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない～

涼成くんの言う通り彼と結婚すれば今よりかは快適に暮らせるのかもしれない。でも……。

「そんな理由で涼成くんとは結婚しないから」
「じゃあどうすれば俺と結婚してくれるんだ」
「なにを言われても結婚はしない」

涼成くんは不本意な縁談から逃れたくて、たまたま再会しただけの私に結婚を頼んでいるだけ。そのために利用されるなんてごめんだ。

「どうしても今すぐに結婚したいなら別の人を探して」
「柚葉以外にこんなことを頼める相手はいない」

その言葉にもやっとした感情が胸の中で広がっていく。

つまり私なら自分の都合のために利用してもいいと思っているのだろうか。

涼成くんのそんな考えに胸が痛んだ。

裕福な暮らしと引き換えに愛のない結婚を提案してくるなんて、今の彼は子供の頃とは別人のような冷たい考えをも持つ人になってしまったのかもしれない。

「だから柚葉、俺と結婚してほしい」
「それはできない」
「頼む」

涼成くんが深く頭を下げる。

この様子だと私が頷くまで執拗に結婚を迫ってくるつもりだろう。私は了承するつもりがないから、このままでは話が平行線のままだ。

涼成くんがきっぱりと諦めてくれるようななにか良い手はないだろうか。

考えて、ハッと思いつく。