リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~

 *

きっと叶えられるはずがない。

だから涼成くんは結婚を諦めてくれるだろうとすっかり安心していた翌日――。

仕事が終わり、会社の外に出ると見覚えのある黒塗りの高級車が停まっていた。

そこから降りてきたのはスーツ姿の涼成くんだ。

「乗って。今から柚葉の願いを叶える」
「えっ」

車の後部座席に強引に押し込められる。その隣に涼成くんも乗り込んできた。

運転席には秘書の男性もいて、涼成くんの指示で車を発進させる。

「どこに行くの?」

突然車に乗せられて状況がうまく飲み込めない。

「言っただろ。柚葉の願いを叶えるって」

それってもしかして……。

「北海道へ行くつもり?」
「ああ」
「今から?」
「もちろん。そうじゃないと今夜の夜景に間に合わないからな」

今の時刻は午後五時半を過ぎた頃。これから北海道へ行って、函館山の夜景を見るようだ。

「飛行機で行くの?」
「そうだ」
「チケットは?」

昨日の今日で入手できたのだろうか。


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