リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
機内では涼成くんとほとんど会話をしないまま、あっという間に函館空港に到着。そこからタクシーで函館山へと向かう。
すでに辺りは暗く、夜景がきれいに見える時間帯だ。
ロープウェイで山頂までのぼると目の前には函館の美しい夜景が広がっていた。
「わぁ。きれい……」
両親とここに来たのは六歳の頃。
正直に言うとあまり覚えてはいなくて、テレビ台の上に飾ってある家族写真でしか私はこの景色を知らない。
でもきっと子供の頃の私も今のように目を輝かせてこの夜景を見たのだと思う。
そして、そんな私を両親が優しい眼差しで見つめていたのだろう。
「どうだ。子供の頃に見た景色と同じか」
隣にいる涼成くんに尋ねられた。
「両親と旅行で来たんだろ。むかしその話を俺に楽しそうにしていたのを覚えてる」
「そうだった?」
「ああ」
私は思い出せないけれど、子供時代の私は涼成くんに北海道旅行の話をしていたらしい。
「昨日、柚葉に函館山の夜景を見たいと言われたとき、子供の頃に見た景色をきっとまた見たいのだと思った」