リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~


夜景を見つめる涼成くんの横顔にちらっと視線を向けた。すると彼の視線も私に向かい、スーツのポケットからなにかを取り出す。

「これはそのときに柚葉から貰ったものだ」

そう言って彼が見せてくれたのは木製のきつねのキーホルダー。

「涼成くんにそんなのあげたかな」

またしても記憶にない。

それに、北海道旅行に行ったのは母がまだ生きていた頃だから涼成くんと出会う前。それなのにお土産を買って渡すことはできないはずだ。

「柚葉が、これと同じのをふたつ持っているからと言ってひとつを俺にくれたんだ」
「あ、そっか。思い出したかも」

そういえば、そんなことがあった気がする。

旅行のときに私はそのきつねのキーホルダーを着ている服の色を変えてふたつ買ってもらった。数か月後に涼成くんと出会い、友達の証としてそのひとつを彼に渡した覚えがある。

「まだ持ってたんだね」
「大事なものだからな」

そう答えて涼成くんはきつねのキーホルダーを大切そうにスーツのポケットに戻した。

大事なもの? 私があげたキーホルダーが?


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