リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
特に高価なものでもなければ、手に入れるのが困難なものでもない。それにもう十年以上も前の古いものだ。それを大事なものだと言った涼成くんをきょとんとした顔で見つめる。
子供の頃からなんでも手に入ったお金持ちの彼なら、私があげたキーホルダーよりももっと大切なものがありそうだけど。
「涼成くんって動物ではきつねが好きだっけ?」
「いや、犬だな」
きつねが好きだから大事に持っていたわけではなさそうだ。
「それよりも柚葉」
涼成くんが真正面から私をじっと見つめる。
「俺は柚葉の願いをしっかりと叶えた。次は柚葉の番だ」
「そうだった……」
幻想的な夜景を見ながら夢のような心地を味わっていたはずが一気に現実に引き戻される。
函館山の夜景を見せてくれたら涼成くんの願いも叶える。そう約束をした。
翌日ではきっと飛行機のチケットが取りづらいだろうから無理だろうと思い、わざと実現できないようなお願い事をしたはずなのに。
まさかプライベートジェットまで利用してあっさりと叶えてしまうなんて。
想定外すぎて困惑する。