リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
涼成くんは幼い頃から多岐川家の跡取りとしておじい様から厳しい教育を受けていた。
おじい様には逆らわず、言いつけはきちんと守っていたし、怒られるのがこわくて自分の意見が言えずに悔しそうにしていた姿を見たこともある。
でも、大人になった涼成くんは違う。
おじい様から私を守ると言ってくれたし、実際に食事会でもおじい様の鋭い視線から私を庇うように自身の背中に隠してくれた。
子供の頃の涼成くんからは想像できない言葉と行動だ。
「むかしは私がおじい様から涼成くんを守ってあげたのにね」
ふと思い出してからかうように言うと、涼成くんは視線を前に向けたまま表情を変えることなく「そうだな」と静かに呟く。
「子供の頃の俺には祖父の前でも堂々としている柚葉がかっこよく思えた。俺も柚葉みたいになりたいと憧れすら抱いていたな」
「そうだったの?」
「ああ。俺は祖父の前ではいつも萎縮していたから」
当時の涼成くんが、三つ年下の私に対してそんな思いを抱いていたとは知らなかった。
「でも、今の涼成くんはおじい様のことをもうこわくはないんだよね」