リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「早く帰らなきゃ」
自然と歩く足が速くなる。
マンションに着く頃には本格的に雨が降り始めて、折り畳み傘を差していても髪や服が濡れてしまった。
稲光が走ったと同時にゴロゴロと雷の大きな音が響く。
たまにどこかに落ちたような、けたたましい音が響き、雷が苦手ではなくても心臓が飛び出そうなほど驚いてしまう。
エントランスに入る前に傘を畳み、濡れたところをハンカチで拭いてからマンション内に入る。
エレベーターで高層階までのぼり、ようやく部屋の前に着いた。
カードキーで鍵を開けて扉を開ける。玄関で靴を脱いでから急いでリビングに向かった。
「涼成くん、大丈夫⁉」
子供の頃のように雷の音と光がなるべくわからないようにタオルケットにくるまって耐えている彼の姿を想像していた。
けれど、実際の涼成くんはゆったりとソファでくつろぎながらテレビを見ている。
急いでリビングに飛び込んできた私を見て、彼は目を見開いた。
「そんなに慌ててどうした」
「どうしたって……」
雷が苦手な涼成くんが心配で急いで帰ってきたけれど、見た限り彼はとても落ち着いている。