リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「涼成くん、こわくないの?」
「なにが? それよりも柚葉――」
ソファから立ち上がった涼成くんが私の横を通り過ぎてリビングを出ていく。
すぐに戻ってきた彼の手にはタオルがあり、それを私の頭に被せた。
「びしょ濡れじゃないか」
涼成くんの大きな手が、雨に濡れている私の髪をタオルで拭いてくれる。
「連絡してくれたら車で迎えに行けただろ」
「でも、涼成くん雷こわくないの? だから急いで帰ってきたのに」
そう言うと彼の手がぴたりと止まる。
それからじっと私を見つめて、軽くため息を吐き出した。
「それは子供の頃だ」
「じゃあ今はこわくないの?」
「当たり前だろ。三十手前の男が雷に震えているわけがない」
呆れたような顔をされてしまう。
涼成くんは雷を克服したということだろうか。
「そっか。よかった」
ほっと胸を撫でおろす。
「涼成くんが子供の頃みたいにタオルケットを被って震えていたらどうしようって心配だったから。そばにいてあげないとって思ったけど、雷がこわくないなら大丈夫だね」
涼成くんを見上げて微笑むと、一瞬だけ目が合ったがすぐにぷいと逸らされた。そして、さっきよりも雑に私の髪を拭いてくる。