リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~


子供ふたりで母の病院へ行ったことは祖父にすぐにバレた。

正座をさせられてひどく叱られている俺のもとに柚葉が来た。

『涼成くんは悪くありません。私が誘ったんです。だから悪いのは私です』

柚葉が俺を庇ってくれた。

すると、祖父の怒りの矛先は柚葉に向かった。俺のときよりもきつい言葉で怒鳴られながら彼女は泣くこともせず、唇をきゅっと噛みしめて耐えていた。

俺はただ祖父の怒りに怯えるだけ。柚葉を助けてあげることもできなければ、祖父の怒りの矛先を再び自分に戻すこともできなかった。

我ながら情けないと思うが、当時の俺はそのくらい祖父がこわかった。

その後、柚葉とはしばらく接近禁止命令が出された。

頻繁に会っていたはずの柚葉と会えなくなって一か月が過ぎた頃。

柚葉の父親が不慮の事故で亡くなったと知らせを受けた。彼女は親戚に引き取られることになったらしく、おそらくもう会えない。

柚葉が父親と暮らしていたアパートを引っ越す当日。まだ接近禁止命令が出されていたが、祖父に逆らう勇気を振り絞って柚葉に会いに行った。


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