リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
『――柚ちゃん』
荷物とともに親戚の車に乗ろうとしていた彼女に声をかける。
『涼成くんどうしたの?』
接近禁止命令が出されているはずの俺が現れて驚いたのだろう。柚葉が目を丸くさせる。
『おじい様に怒られちゃうよ』
『いいんだ。それよりも柚ちゃんが心配で』
本当は祖父にバレて叱られるのがこわい。でも、このまま挨拶もできずに柚葉が俺の知らない場所へ行ってしまうのもこわかった。
『柚ちゃん。あのときはごめん。おじい様からきみを守ることができなくて』
柚葉は俺を庇って祖父の怒りの矛先を自分に変えてくれた。それなのに俺は叱られている彼女を助けることができなかった。
『そんなのもういいよ』
柚葉がにっこりと笑う。その姿を見て、やはり彼女は俺なんかよりも数倍も強い女の子だと思った。
それでも今度は俺が彼女を守りたい。
『柚ちゃん。もしいつか、きみを泣かせるような人がいたら僕に言って。必ず守るから』
そう伝えた俺を見て柚葉は優しい笑顔で微笑んだ。そして俺に向かって手を振る。
『またね、涼成くん』
柚葉が親戚の人が運転する車に乗り込んだ。