リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「柚葉は料理が得意だな。レパートリーも多いし、どれも美味しい。弁当も彩りがいいし、栄養バランスもよく考えられている」
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しながら涼成くんが呟く。
もしかして褒めてくれているのだろうか。
「……ありがとう」
うれしい気持ちよりも動揺の方が大きくて、返事の言葉に詰まってしまった。
子供の頃の涼成くんなら違和感はない。昔はいつもほんの些細なことで彼は私を大げさすぎるくらいに褒めてくれたから。
でも、大人になって少し冷めた性格に変わってしまった今の涼成くんから褒められるとは思わなかった。
初めは動揺していたけれど、久しぶりに褒められてうれしい気持ちがじわじわと込み上げる。
でも、料理は得意というわけでも好きというわけでもない。
伯父の家にいた頃から強制的に毎食作らされていたから自然と身に着いただけ。
そういえば、風邪を引いて熱があるときもキッチンに立たされたっけ……。
私の風邪が移ればいいのにと思いながら、ふらふらの体で伯父たちの食事を作ったことをふと思い出した。
伯父たちのために作るよりも涼成くんのために作る方が何百倍もやる気が出る。