リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「それならちょうどいいわね」
なにがちょうどいいのだろう。梨央ちゃんが言葉を続ける。
「私、結婚が決まったの」
「そうなの⁉」
予想外の報告に驚いて思わず大きな声が出てしまった。そんな私を涼成くんがじっと見ている。
彼の視線から逃げるようにキッチンに背中を向けた。
「おめでとう、梨央ちゃん」
彼女が結婚をするなんて予兆は少しもなかった。
恋人がいると聞いたこともなかったけれど、そういう存在が実はいたのかもしれない。
「柚葉の旦那よりも数倍かっこよくてセレブな人よ。実家は代々続く会社を経営している御曹司なんだから」
「そうなんだ」
もしかして五月のパーティーで出会った人かもしれない。たしか梨央ちゃんの意中の男性が珍しく参加していると言っていたから。
その男性とパーティーをきっかけに知り合い、結婚という運びになったのだろう。
それにしても梨央ちゃんは私の結婚相手を知らないはずだ。それなのに自分の婚約者と比べて、私を下に見ようとするところは彼女らしい。