リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
その後、ホテルの中にある日本料理のお店で両家顔合わせが行われた。
婚約者の男性は梨央ちゃんよりもふたつ年上の三十歳。都内の大学を卒業後、アメリカに数年留学していたそうだ。
三年ほど前に日本に戻ってきて、現在は実家の会社の副社長をしているらしい。いずれは父親の跡を継いで社長になるようで、華々しい経歴の持ち主だ。
本人もそんな自分の経歴をアピールするような話し方をする人で、自己顕示欲の強さがうかがえる。
自分が一番優位に立ちたいという気持ちが伝わってきて、そういうところは梨央ちゃんとよく似ている。
顔合わせは二時間ほど続き、私は最初に短めの自己紹介をされただけで、そのあとはほとんど空気のように扱われた。
私にとっては居心地の悪い空間で、この場に涼成くんがいなくて本当によかったと安堵した。
高層階にある日本料理店を出た後はロビーがある一階に降りた。
「今日は梨央さんのご家族とお会いすることができて、とても貴重な時間を過ごすことができました。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」