リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~


婚約者の父親と伯父が挨拶を交わす姿を横目に見ながら、私はようやくここ最近の胸のつかえが取れた気がした。

それくらい今日の顔合わせが憂うつだったけれど無事に終わってよかった。

このまま梨央ちゃんの結婚は無事に進んでいくのだろう。

「それでは失礼いたしま――」

婚約者の父親が突然言葉を止めて、どこか一点をじっと見つめる。みるみる表情が固くなり、姿勢をしゅっと正した。

どうしたんだろう?

婚約者の父親が見ている方向に私たちの視線が向かう。

すると、すらりと背の高いスーツ姿の男性がエントランスからこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

「涼成くん……」

思わず声が漏れる。

急きょ来られなくなったはずの彼がどうしてここに?

「柚葉」

近くに来た彼が私の名前を呼ぶ。

それに反応したのは梨央ちゃんの婚約者家族だ。驚いたように目を見開き、私と涼成くんを見ている。

そんな視線には気づかずに涼成くんが私に尋ねる。

「顔合わせは終わったのか」
「うん。涼成くんは仕事はどうしたの?」
「思ったよりも早く片付いた。挨拶だけでもできないかと思いここに来たんだが」

彼の視線がこの場にいる全員に向かった。


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