リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「まさか梨央さんの妹さんのご主人が涼成さんだったなんて。我が家とも親戚関係になりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
婚約者の父親がうれしそうに涼成くんに声をかけた。一方の涼成くんは表情を変えずにうなずくだけだ。
「では、私たちはこれで失礼します」
婚約者の父親の視線は伯父や伯母、それから梨央ちゃんよりも涼成くんしか見ていない。
どうやら今の彼らの頭の中には梨央ちゃんとの結婚よりも、TAKIGAWAホールディングスを運営する多岐川家と親戚関係になれることしかないようだ。
婚約者たちがロビーを後にした。
すると、涼成くんが伯父に視線を向ける。
「ご挨拶が遅くなりました。多岐川涼成と申します。柚葉さんとの結婚をお許しいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします」
すっと腰を折り、深く頭を下げる涼成くん。一度顔を上げると、今度は伯母と梨央ちゃんにも挨拶をする。
「お母さまとお姉さまもよろしくお願いいたします」
「は、はい。こちらこそ」
涼成くんを見つめる伯母の頬がぽっと染まる。すっかり見惚れてしまっている伯母の隣で伯父が普段よりも小さな声で遠慮がちに尋ねる。