リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
「でも私なにもしてないけど……」
それなのに涼成くんを支えていたのだろうか。
「特別なことなんてなにもしなくても、あの頃の涼成は柚葉ちゃんがただそばにいてくれるだけでよかったんじゃないかな」
鳴海さんが優しく微笑む。そのあとでふと表情を曇らせた。
「だから柚葉ちゃんがいなくなってからの涼成はだんだんと塞ぎ込むようになってさ」
「塞ぎ込む?」
聞き返した私を鳴海さんはちらっと見てから視線を逸らし、目の前の噴水を見つめる。
「涼成が本格的に跡取りとしての仕事を覚え始めてからはおじい様のしつけがより一層厳しくなった。おじい様としては涼成に期待をしていたからこそだとは思うけど、涼成の様子は誰が見てもつらそうだったんだ。でも誰もおじい様に逆らえないから、そんな涼成を助けることができなかった」
私が伯父に引き取られた後のことだろう。
「そのうち感情をなくしたロボットのようになってさ。きっとその方が涼成としては楽だったんだろうな。気づいた頃には純粋で思いやりがあって優しかったあいつはいなくなってた」
そっか、だから……。