冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
恋愛感情があるのを自覚して、今後、葵との関係をどうしようかと迷っていた時にホテルで会ってしまった。

あの時は葵の身の安全のため、多野元に見つからないようにと部屋に入れたが、閉ざされた空間でふたりきりになった途端、いつもの調子で話せなくなった。

出会った時から変わらず葵は可愛い存在だが、今は顔を見るとどうしても鼓動が高まり、恋人として隣に置きたくなる。

その欲望をセーブするのに、思いのほか苦労した。

しかし、大和の気持ちを少しも知らない葵にベッドを勧められてしまった。

もちろん寝不足を心配していただけだとわかっているが、欲望の制御に苦心している中で言われると、手を出したくなって困る。

極めつけは、あの言葉だ。

『意味はわかるよ。大人だもの。ずっと子供じゃないとわかってほしかった。大和さんとなら私、同じベッドで寝られるよ』

妹扱いすると葵はいつも反発する。

あの時の誘うような言葉に深い意味はないとわかっているが、それでも男心に火をつけるには十分だった。

抱きしめたい欲望に駆られ、自制が効きにくくなっているのを自覚してひどく焦った。

十三年も兄のように関わってきたのだから、葵の方は自分を異性としては見られないだろう。

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