冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
ごまかすかのように言った大和が、床に置いていた紙袋に手を伸ばした。

中から出されたのはふたり分のうな重だ。

ペットボトルの緑茶と一緒にローテーブルに並べてくれる。

彼の手で蓋が開けられると、ふんわりと甘辛いタレの香りが広がった。

「山椒は?」

「かける!」

角を挟んで大和の隣に座る。

久しぶりの豪華な夕食に心奪われた途端に、勘違いを追求する気が失せた。

(まぁいっか。焦って恋人の気配を確かめに来たからといって、嫉妬じゃないもの)

大和のことだから、葵がおかしな男に引っかかったのではないかと余計な心配をしたのだろう。

過保護な兄役を下りる気がないのはわかっているので、期待は少しも持てなかった。

ライターの仕事やアルバイトについて色々と質問され、それに答えながらうな重を楽しむ。

「最近の私はそんな感じ。大和さんは?」

どうせ話してくれないだろうと思って聞いたのだが、「爆発関連の事件を追っている」と言われて驚いた。

「詳しく聞いてもいいの?」

「報道されている以上のことは言えないが」

「だよね。ニュースは見てるからいい」

それでも嬉しい。

てっきり『俺のことはいい』と言われると思っていたからだ。

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