冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
ジュエリー店のショウウィンドウには雪の結晶やベルの飾りが貼られ、腕を組んだ若いカップルがその前を笑顔で通り過ぎる。

(いいな。私も大和さんと、あんなふうに歩きたい)

先ほどまで大手出版社に出向いていた。

知り合いの編集者に会い、ちょっとした仕事をもらったのだ。

権力者の汚職スクープはごろごろ転がっているわけでなく、沢からいいネタが入ったと連絡が来るまでの繋ぎとして、話題のスイーツや便利グッズの紹介などの記事も書く。

今は出版社からの帰り道で、信号が青に変わったのでラブラブな恋人たちから視線を外してアクセルを開けた。

アパートに帰り着くと、正面玄関前でまた菜美恵と鉢合わせた。

今日は抱っこ紐の中に厚着をさせた直斗を入れている。

「高野さん、こんばんは。仕事帰りですか?」

「は、はい」

大和が教えてくれないので、縞森夫妻にどんな嫌疑がかけられているのかわからない。

『普通にしてろ』とだけ言われているが、本人を目の前にするとどうしても緊張してしまう。

「直斗くん、こんばんは」

様子がおかしいと思われては困るので作り笑顔で子供に声をかけたが、不満げな声を出され顔を背けられてしまった。

どうやら今は機嫌が悪いらしい。

< 121 / 218 >

この作品をシェア

pagetop