冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「そうかもしれないですね」と曖昧な返事をすると、菜美恵は会釈してスーパーマーケットのある方へ歩き出した。

その数メートル後ろをラフな格好の若い男性が歩いている。

ただの通行人を装っているが、おそらく公安警察官だろう。

縞森夫妻には常に見張りがついているようだ。

階段を上った葵は、自宅の鍵を開けた。

(大和さん、もう帰って来てるかな)

菜美恵の夫が出勤している日中は不審な物音がしないので、大和も登庁しているが、夕方に帰宅して夜間はこの部屋から特殊機器を使って階下の様子を探っている。

小さな玄関には黒い革靴が一足、揃えて置かれていて、室内は明るかった。

「おかえり」

思わず笑顔になるその声は、ドアが閉まった浴室から聞こえてきた。

どうやらシャワーを浴びたところのようで、すりガラスの戸が開くと、バスタオルで髪を拭きながら大和が出て来た。

その姿に大きく心臓が波打つ。

私服の黒いストレートパンツのみで、上半身は裸だったからだ。

無駄な脂肪のない引き締まった体躯に目が釘付けになる。

平静でいなければと思っても、ひとつ屋根の下で男性と暮らしているという状況を意識しないわけにいかなかった。

「シャワーを借りたぞ」

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