冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
たくましく美しい筋肉質の背中に抱きつく勇気はなく、ただ頬を熱くして着替えが終わるのを見届けるしかできなかった。

(意気地なし。大和さんにもドキドキしてもらわないと、恋愛対象に入れてもらえないのに……)

「どうした?」

振り向いた彼に問われた。

いつまでも玄関に突っ立っていたからだろう。

「なんでもない。お腹空いた。ご飯、どうする?」

(あなたの裸を見ながら悩んでました。なんて言えないよ)

結局、ごまかし笑いをし、意識を恋愛以外のことに向けるしかできなかった。

夕食は彼が宅配を頼んでくれた有名店のカレーライスだ。

大好物のエビが入ったカレーは魚介の濃厚な旨味が広がる絶品で、他愛ない話をしながら楽しく食べ終えた。

それから数時間が経ち、パジャマ姿の葵はベッドに腰かけている。

ヘッドホンを耳に当てた大和はキッチンの配管と床に特殊機材をセットし、傍らに置いたノートパソコンを操作している。

階下の音を録音し、警視庁に送って解析するのだろう。

捜査に協力しているのに、彼はなにも教えてくれない。

仕方ないことだとわかっているから責めないが、壁がある気がして少し寂しい。

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