冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
ベビー用品に日用品、食料品ばかりで、犯行に繋がるものはなにひとつない。

「あーあ」

藪が伸びをしながらぼやいたのは、狙いが外れたからではない。

買い物履歴の入手という作業が簡単すぎてつまらなかったせいだろう。

楽しいか、つまらないか。純粋すぎる藪の捜査に正義感はないのだ。

「退屈な仕事を頼んで悪かった」

気持ちを汲んで詫びると、なぜか嬉しそうな顔をされる。

「うん。だから余った時間でこれを作ってた。加賀見さんにプレゼントだよ」

藪がマウスをクリックすると、画面に大きく写真が表示された。

「おい――」

言葉が続かなかった理由は、警察の制服姿の自分と葵のツーショット写真だったからだ。

しかも葵の服装はウエディングドレスで、はにかむように笑っている。

おそらく大和の携帯電話から盗み出した葵の画像を使い、合成したのだろう。

現実かと思うほどよくできているが、褒められたものではない。

口角を上げ、悪意のない目で見てくる藪に注意する。

「俺の携帯電話をハッキングしたんだな? 犯罪だぞ。二度としないでくれ」

「フォルダのタイトルにあった葵って人、加賀見さんの恋人でしょ? 結婚写真を作ってあげたのに嬉しくないの?」

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