冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
そこまで驚かれるとさすがに恥ずかしくなり、「待っている」とだけ伝えて電話を切った。
庁舎を出たのは十六時半頃だ。
庁舎近くの洋食屋に電話で注文しておいたエビフライがメインの弁当をふたり分受け取り、タクシーに乗る。
向かう先はもちろん葵のアパートだ。
葵と同居をしての捜査は他の者にさせられない。自分の手で守りたい思いも強い。
そういう理由で十日ほど一緒に暮らしているが、心の奥底には欲望も顔を覗かせていた。
(葵が愛しい。だからこそ手は出せない)
捜査のための同居を頼んだ日に、上官の娘との見合いの件で葵を随分と不安にさせていたのを知った。
『お願い、これからも私のそばにいて』
あの時の葵の言葉は衝撃で、喜びのあまりに理性が飛びかけ唇を奪いたくなった。
けれどもすぐに自分を戒めた。
求めてくれる言葉を勘違いしてはいけない。
家族がいない不安や寂しさからそう言ったのだと思っている。
普段、強気な言動を取るのは心細さの裏返しだろう。
十三年間、葵を見守ってきたのだからよくわかっているつもりだ。
十七時を過ぎたばかりなのに、辺りはもう暗い。
アパートの近くでタクシーを降り、五分ほど歩いた。