冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
縞森菜美恵は、大和を葵の恋人だと思っている。タクシーで通っている姿を見られれば、警察だと疑うまではしなくても、どんな仕事をしているのかと興味を持たれる気がしたからだ。

アパートが見える距離に作業着姿の男がひとり立っていた。

電気工事の業者を装っているが、菜美恵に張り付いている公安警察官だ。

目が合ったがお互いに知らないふりをし、目礼もしない。

足早に正面玄関をくぐった大和は葵の部屋まで行き、合鍵でドアを開けた。

部屋の中は暗く、冷えている。

(そういえば今日は居酒屋のアルバイトだと言っていたな。帰りはかなり遅いのか。葵を俺のものにできたなら、生活費の援助ができるんだが)

心配なので夜は家にいてほしいが、今の関係ではアルバイトをやめろと言えなかった。

シャワーを浴びたあとは、キッチン前に機材を広げて階下の様子を探る。

そのまま数時間が経過して、二十三時近くになってから葵がやっと帰って来た。

「ただいま」

元気そうな顔に安堵して口角が上がる。

「おかえり。腹が空いただろ。弁当があるぞ」

さすがに遅い時間なので、大和は先に食事をすませた。

エビフライは衣が薄く、大きめの海老が使われていて食べ応えがあった。

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