冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
きっと喜んでくれると思い、キッチンに置いていた弁当を手渡すと、葵の眉尻が下がった。

「ごめん。まかないが出るバイトだったんだ。先に言っておけばよかったね。誰かがミスして余分に作っちゃった料理も食べさせてくれたから、今お腹いっぱい。これは明日の朝ご飯にするね。ありがとう」

「そうか」

無理して食べてほしいとは思わないが、弁当が不要なら今日は葵のためになにもしてあげられなかったことになり、その点は残念だ。

冷蔵庫に弁当をしまった葵はコートを脱ぎながら窓辺へ行く。

ハンガーにかけてカーテンレールに吊るそうとしているが、窓際には大和の荷物をまとめて置いているので、それが邪魔して背伸びをしても届かないようだ。

「大和さん、手が……」

頼まれるより先に動き出しており、ハンガーを受け取ろうとした。

その際に手が触れ合うと、なぜか焦ったように引っ込め、目まで逸らされた。

「あ、ありがとう。私、シャワーを浴びてくるね」

早くしないと近所迷惑になるからと言い訳するようにつけ足して、葵が浴室に駆け込む。

折れ戸を強めに閉める音にショックを受けた。

(今、逃げたよな。なぜだ?)

嫌われるようなことをしただろうかと自問し、先週の夜を思い出した。

(添い寝券が原因か)

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