冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
男としてこの時間はつらいものがある。

どうしても浴室内を想像してしまうからだ。

頭を強く横に振り、ヘッドホンで耳を塞ぐ。

葵が心を寄せてくれるようになるまでは、絶対に耐えなければならない。

それから二時間ほどが経ち深夜一時を過ぎた頃、キッチンの床に座って捜査を続けている大和の背に声がかけられた。

「大和さん、先に寝るね。おやすみ」

「おやすみ」

パジャマ姿の葵を見ると感情が揺れてしまうので、振り向かない。

天井照明を消してデスクライトをつけ、耳に意識を戻そうとした。

ヘッドホンから聞こえる縞森夫妻の会話は、断片的にしか聞き取れない。

録音した音声は解析に回すけれども、重要な会話ならなるべく早く対応したい。

そう思い耳を澄ませているのだが、いつも夜泣きの声に邪魔される。

子供の夜泣きは仕方ないと同情的に見ている葵と大和は違う。

実際に泣いているのではなく、録音した泣き声を流していると判明したからだ。

理由は隣接する部屋の住人に、拳銃の製造音に気づかれたくないからで、あわよくば夜泣きにうんざりして引っ越してほしいと思っているのだろう。空き部屋の方が都合がいいからだ。

ちなみに数日前、一階の隣の部屋に引っ越しの見積もりで業者が出入りしていた。

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